たまごとコレステロールの関係
コレステロールと聞くだけでタマゴの摂取を控えてしまう人はいませんか?
むやみに良質なたんぱく源のタマゴを遠ざけてしまうのは考えものです。 意外と知らなかったタマゴとコレステロールの関係を紹介しましょう。
−コレステロールとはどんなもの?
コレステロールは脂肪の一種で脳や神経にもかなりの量が含まれ、 体を構成している無数の細胞膜の20%がコレステロールで構成されていますから、 毎日細胞の新陳代謝にたくさんのコレステロールが使われいるほか、体内で性ホルモン、 副腎皮質ホルモンなどの原料となって、性腺の活動やストレスの解消に至るまでいろいろの生理作用の調整役をつとめ、 また胆汁の重要な成分として脂肪の消化作用を果たしています。 したがって、コレステロールは成長や日常の健康活動にはなくてはならないものです。
−コレステロールはどこで作られる?
コレステロールが体内、それも主に肝臓で合成されるのをご存知でしょうか。 コレステロール値を変化させるのは肝臓での合成によるものがほとんどで、 食品中のコレステロールの含有量が直接に血液中の濃度を決めるわけではありません。 体全体で100g〜120gある総コレステロールに対して、卵1個あたり約0.3gですから微々たるものです。
しかも、たくさん卵を食べても、 健康な人間の小腸は通常はある一定以上のコレステロールは吸収しない仕組みになっていますから気に病むことはないのです。
−ウサギの実験が誤解の元!?
タマゴがコレステロールの“元凶”と言われるようになったのは約90年前、 ロシアで草食動物のウサギに動物性脂肪を投与して行った実験がきっかけ、草食動物は、 小腸からコレステロールをどんどん吸収しますが、肉食動物の小腸は必要以上に吸収せず、 自分が必要とする分だけを肝臓で合成しています。
人と肉食動物は小腸でのコレステロール吸収、肝臓での合成の仕組みは同じということで、 草食動物の実験結果を人に当てはめることは無理があると言われており、最近では科学者の間で疑問視する動きもあるようです。
−コレステロールと動脈硬化
コレステロールにも善玉と呼ばれるHDLコレステロールと悪玉と呼ばれるLDLコレステロールがあります。 善玉コレステロールは血管壁についている余分な悪玉コレステロールを運搬して排出する働きを持っているのです。 この善玉コレステロールの量を増加させるのに役立っているのが、卵の黄身に多く含まれているレシチンという物質で、 レシチンは動脈硬化の予防薬の主成分としても使われています。
コレステロールというのは、体を構成する細胞膜の重要な成分であると同時に各種ホルモンの原料となり、 脳や神経組織に最も多く含まれています。つまり血管壁や赤血球を丈夫にし、脳出血を防ぐのもコレステロールの